-臨床成績 潰瘍性大腸炎〈寛解期〉-

潰瘍性大腸炎(成人)

寛解期潰瘍性大腸炎に対する長期投与試験1)

目的 寛解期潰瘍性大腸炎患者を対象としたペンタサ®錠の長期間使用での寛解維持効果と安全性についての検討
対象 寛解期潰瘍性大腸炎35例
(有効性評価対象:29例、安全性評価対象:30例)
方法 4週間の観察期間の後、ペンタサ®錠750mg〜2,250mgを1日3回に分けて12ヵ月間経口投与した。
評価項目 【安全性】 副作用、臨床検査値異常変動 等
【有効性】 臨床症状、内視鏡所見、全般有効度 等
解析計画 副作用発現例及び臨床検査値異常変動例については一覧表を作成し、その頻度を集計した。臨床症状、内視鏡所見、全般有効度について集計を行った。

1. 安全性

副作用発現率は13.3%(4/30例)であり、その内訳は悪心2件、胃部不快感、全身瘙痒感、全身の発疹、肝機能障害、浮腫が各1件の計7件でした。これらの副作用はいずれも軽度であり、投与終了時に症状が消失しなかった1例2件(全身搔痒感及び肝機能障害)を除き、投与中止あるいは投与継続中に消失しました。投与中止に至った副作用は1例2件(全身の発疹、浮腫)でした。重篤な副作用及び死亡例は認められませんでした。
また、臨床検査値異常変動発現率は、16.7%(5/30例)であり、その内訳は、AST(GOT)上昇1件、ALT(GPT)上昇2件、γ-GTP上昇1件、尿中β2-ミクログロブリン上昇1件、尿NAG上昇2件の計7件でした。

2. 臨床症状

寛解維持療法期間における「中等度有効以上」の割合は93.1%(27/29例)でした。

グラフ:有効割合

3. 内視鏡所見

寛解維持療法期間に内視鏡所見で寛解維持を示した症例の割合は、79.2%(19/24例)でした。

グラフ:寛解維持と再燃の割合

4.全般有効度

寛解維持療法期間における「中等度有効以上」の割合は89.7%(26/29例)でした。

グラフ:有効割合
6. 用法及び用量(一部抜粋)
〈潰瘍性大腸炎〉

通常、成人にはメサラジンとして1日1,500mgを3回に分けて食後経口投与するが、寛解期には、必要に応じて1日1回の投与とすることができる。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,250mgを上限とする。
ただし、活動期には、必要に応じて1日4,000mgを2回に分けて投与することができる。
通常、小児にはメサラジンとして1日30~60mg/kgを3回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,250mgを上限とする。

7. 用法及び用量に関連する注意
  1. 7.1 1日4,000mgへの増量は、再燃寛解型で中等症の潰瘍性大腸炎患者(直腸炎型を除く)に対して行うよう考慮すること。
  2. 7.2 1日4,000mgを、8週間を超えて投与した際の有効性は確立していないため、患者の病態を十分観察し、漫然と1日4,000mgの投与を継続しないこと。

寛解期潰瘍性大腸炎患者を対象とした第Ⅲ相用法用量比較試験(非劣性試験)2)、3):軽症〜中等症の寛解期潰瘍性大腸炎症例を対象とした1日1回投与と1日3回投与の比較

目的 寛解期潰瘍性大腸炎患者を対象としたペンタサ®錠の1日1回投与の1日3回投与に対する非劣性の検証
対象 寛解期潰瘍性大腸炎301例
(有効性評価対象:282例、安全性評価対象:301例)
方法 1日1回投与群(ペンタサ®錠1回1,500mgまたは2,250mg、1日1回投与)
1日3回投与群(ペンタサ®錠1回500mgまたは750mg、1日3回投与)
52週間経口投与
評価項目
【有効性】
〈主要評価項目〉寛解維持率(投与52週後の寛解維持の有無)
・主要な解析:投与52週後または中止時までに再燃しなかった被験者の割合
・副次的解析:Kaplan-Meier推定値
【安全性】
副作用 等
*:寛解維持とはUC-DAIスコアが2以下かつ血便スコアが0である状態とした。
解析計画 投与群別に、寛解維持率(投与52週後または中止時までに再熱しなかった被験者の割合)、群間差(1日1回投与群-1日3回投与群)及び群間差の両側95%信頼区間を算出した。非劣性マージンを-10%として1日1回投与群に対する非劣性を検証した。副作用発現例については一覧表を作成し、その頻度を集計した。

1. 寛解維持率(投与52週後または中止時までに再燃しなかった被験者の割合)【主要評価項目】

寛解維持率において、1日1回投与の1日3回投与に対する非劣性が検証されました(群間差[95%信頼区間]=7.8[-2.2~17.8])。

グラフ:投与52週後または中止時までの寛解維持率

2. 寛解維持率(Kaplan-Meier推定値)【主要評価項目】

ペンタサ®錠1日1回投与の寛解維持率は、1日3回投与と比較して非劣性(群間差[95%信頼区間]=8.1[-2.1~18.3])が検証されました。

グラフ:Kaplan-Meier推定値による寛解維持率

3. 安全性3)

有害事象は、1日1回投与群では72.4%(110/152例)、1日3回投与群では76.5%(114/149例)に認められました。いずれかの群で発現率が3.0%以上の有害事象は、1日1回投与群では鼻咽頭炎(38.2%)、上気道の炎症(7.9%)、下痢(6.6%)、湿疹(3.9%)、齲歯(3.3%)、1日3回投与群では鼻咽頭炎(38.9%)、下痢(4.0%)、胃腸炎(4.0%)、腹痛(3.4%)でした。
副作用は、1日1回投与群では5.9%(9/152例)、1日3回投与群では4.0%(6/149例)でした。投与量別の副作用は、1,500mg/日では1日1回投与群では鼓腸、手根管症候群、発疹が各1例(2.1%)1件、2,250mg/日 1日1回投与群(105例中)では回転性めまい、悪心、倦怠感、β-Nアセチルグルコサミニダーゼ増加、浮動性めまい、片頭痛、腎結石症、湿疹が各1例(1.0%)1件、1,500mg/日 1日3回投与群(45例中)では胃炎が1例(2.2%)1件、2,250mg/日 1日3回投与群(104例中)では腹部膨満、腹痛、胃炎、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、筋痙攣、湿疹が各1例(1.0%)1件でした。

6. 用法及び用量(一部抜粋)
〈潰瘍性大腸炎〉

通常、成人にはメサラジンとして1日1,500mgを3回に分けて食後経口投与するが、寛解期には、必要に応じて1日1回の投与とすることができる。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,250mgを上限とする。
ただし、活動期には、必要に応じて1日4,000mgを2回に分けて投与することができる。
通常、小児にはメサラジンとして1日30~60mg/kgを3回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,250mgを上限とする。

7. 用法及び用量に関連する注意
  1. 7.1 1日4,000mgへの増量は、再燃寛解型で中等症の潰瘍性大腸炎患者(直腸炎型を除く)に対して行うよう考慮すること。
  2. 7.2 1日4,000mgを、8週間を超えて投与した際の有効性は確立していないため、患者の病態を十分観察し、漫然と1日4,000mgの投与を継続しないこと。

  1. 1)棟方昭博 他:薬理と治療 1994;22(Suppl.10)S2607-S2624
    利益相反:本研究は杏林製薬株式会社の資金により行われた。
  2. 2)Watanabe M. et al.:Inflamm Bowel Dis 2013;19:1681-1690
    利益相反:本研究は杏林製薬株式会社の資金により行われた。
  3. 3)ペンタサ錠の寛解期潰瘍性大腸炎を対象とした用法用量比較試験(非劣性試験:社内資料)

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