-薬効薬理-

作用機序1)

間質性膀胱炎に対するジメチルスルホキシドの作用機序は十分に解明されていないが、炎症抑制及び鎮痛等の関与が考えられている。

抗炎症作用(ラット、マウス)2)、3)、4)

ラット硫酸プロタミン誘発間質性膀胱炎モデルにおいて、50%ジメチルスルホキシドの膀胱内投与は膀胱組織の浮腫及び血管充血を抑制した3)

方法:
ラット硫酸プロタミン誘発間質性膀胱炎モデル(180~200g、各群5例)に、50%ジメチルスルホキシド200μLを膀胱内投与し30分間保持した。硫酸プロタミン投与1日後及び7日後に、浮腫及び血管充血スコアによる評価と炎症部位の多形核白血球数などを測定した。

URO-OVAトランスジェニックマウスを用いた急性膀胱炎症モデルにおいて、50%ジメチルスルホキシドの膀胱内投与(3回/週)は膀胱組織の炎症及び浮腫を抑制し、膀胱炎症組織のCD8+T細胞の浸潤、IFN-γ、MCP-1、NGF、TNF-α及びIL-6のmRNA 増加を抑制した4)

方法:
急性膀胱炎症マウス(URO-OVAマウス、8~10週齢)は、T細胞が活性化した脾臓細胞を静脈内投与により細胞移入して作製した。尿道カニューレを介して50%ジメチルスルホキシドを50μL膀胱内投与し、1時間保持した。ジメチルスルホキシドの膀胱内投与は細胞移入した1、4、7日後に実施し、10日後に炎症スコアを用いて組織学的評価をした。CD8+T細胞数をフローサイトメーター、炎症関連因子のmRNAをRT-PCRで評価した。

URO-OVA/OT-Iトランスジェニックマウスを用いた慢性膀胱炎症モデルにおいて、50%ジメチルスルホキシドの膀胱内投与(1回/週、3週)は膀胱組織の炎症及び浮腫を抑制した。このトランスジェニックマウスにナイーブT細胞を移入して生じる重篤な急性膀胱炎症は、ジメチルスルホキシドの膀胱内最終投与7日後に細胞移入しても観察されなかった。また、in vitroでジメチルスルホキシドはエフェクターT細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを増加させた4)。これらのことから、ジメチルスルホキシド投与による内因性自己免疫OT-I CD8+T細胞の除去が推察された。

方法:
慢性膀胱炎症マウス(URO-OVA/OT-Iマウス)へ尿道カニューレを介して50%ジメチルスルホキシドを50μL膀胱内投与し、1時間保持した。10週齢よりジメチルスルホキシド膀胱内投与を1回/週、3週間行い、最後の処置の3日後に炎症スコアにより組織学的評価を行った。エフェクターT細胞への影響を検討するために、細胞増殖はMTT assay、アポトーシスはフローサイトメトリーを用いて評価した。

鎮痛作用(ラット)2)、5)

除脳ラットにおいて、50%ジメチルスルホキシドの膀胱内投与は膀胱拡張に伴う脊髄後角の神経活動の増大(侵害反応)を抑制した。

方法:
除脳した雌性SDラット(250~300g、各群11-13例)を用いて膀胱拡張により得られた脊髄後角ニューロンの活動増加に対する10%及び50%ジメチルスルホキシド膀胱内投与による作用を、投与2時間後に脊髄に配置した電極により細胞外単一ユニット記録法で測定した。ジメチルスルホキシドは膀胱に留置した経尿道カニューレより0.5mLを投与し、30分間保持した後、膀胱内カニューレより自然に排泄させた。

  1. 1) Kolb KH, et al. Ann. N Y Acad Sci. 1967; 141: 85-95
  2. 2) 社内資料:安全性薬理試験
  3. 3) Soler R, et al. Int Braz J Urol. 2008; 34: 503-511
  4. 4) Kim R, et al. J Biomed Biotechnol. 2011; 2011: 937061
  5. 5) Castroman PJ, et al. J Pain. 2002; 3: 394-400

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