ライブラリ -専門医の症例から学ぶ泌尿器科疾患 男性編-

紹介内容には、解説者の知識、経験、方針に基づく私見が含まれている場合があります。薬剤の使用にあたっては、各薬剤の最新の電子添文をご参照ください。
すべての記事
血尿をきたす疾患

成田赤十字病院 副院長 第一泌尿器科部長 大木 健正 先生
血尿は大きく分けると、「顕微鏡的血尿」と「肉眼的血尿」に分類される。健診などで尿中に血液のもとである赤血球が増えているのを指摘された場合を「顕微鏡的血尿」、トイレで排尿した際に尿に血が混じっている場合を「肉眼的血尿」という。さらに肉眼的血尿は、何かしらの症状を伴う「症候性肉眼的血尿」と、何も症状を伴わない「無症候性肉眼的血尿」に分けられる。一般的に症状を伴う「症候性肉眼的血尿」の場合には、尿路感染症や尿路結石症などが原因のことが多く、「無症候性肉眼的血尿」の場合には、膀胱癌などの悪性腫瘍の可能性があり精査が必要である。
(2025.02掲載 監修:市川 智彦 先生)
気尿をきたす疾患

兵庫県立はりま姫路総合医療センター 泌尿器科 佐野 貴紀 先生
気尿とは排尿時にガスが排出されることにより自覚されることが多く、糞尿をきたすこともある。外来では他科との連携や緊急入院が必要になることもあり、見逃さないよう注意が必要である。
(2025.01掲載 監修:三宅 秀明 先生)
陰嚢内腫瘤をきたす疾患

松戸市立総合医療センター 泌尿器科 北川 憲一 先生
精巣腫瘍は無痛性陰嚢内腫瘤を主訴とする場合が多いが、精巣痛を訴える例もある。今回症状が一時軽減していたり、画像検査で原発部位の判定が悩ましかった症例を経験したので供覧する。陰嚢内腫瘤では悪性腫瘍の診断に注意が必要であるが、診断が困難で手術を行い、病理診断を待たなければならない場合がある。
(2024.12掲載 監修:市川 智彦 先生)
尿閉をきたす疾患

兵庫県立尼崎総合医療センター 泌尿器科 藤本 卓也 先生
尿閉は膀胱内に貯留している尿を体外に排泄できない状態を指します。尿閉は急性尿閉と慢性尿閉とに区別され、いずれも治療介入を要します。尿閉の合併症として尿路感染症や腎機能障害、膀胱結石、尿失禁が挙げられます。
(2024.11掲載 監修:三宅 秀明 先生)
尿閉をきたす疾患

千葉市立青葉病院 泌尿器科 松本 精宏 先生
尿閉とは膀胱が尿で充満しているにもかかわらず、排尿がまったく(あるいはほとんど)できない状態を尿閉と言う。尿閉の原因は大きく下部尿路(膀胱、前立腺、尿道)閉塞と膀胱の機能不全に分けられるが、両方の因子が重なって発症する場合もある。
(2024.10掲載 監修:市川 智彦 先生)
監修のコメント
本邦では高齢化が進む中、排尿障害、尿路性器悪性腫瘍、慢性腎疾患などの泌尿器科疾患の患者さんのさらなる増加が予想されます。また泌尿器科疾患は、性別により下部尿路や骨盤底の構造と機能が同一でないことから、それぞれ特徴的な病態・症候を呈することが少なくありません。
診療技能のスキルアップには、実際に数多くの症例を経験することが重要ですが、他の先生が経験された症例から学ぶことも多いと思われます。
本コンテンツでは、千葉大学関連病院の先生方にご協力いただき、泌尿器科での診療においてよく遭遇する(泌尿器科専門研修プログラムにも取り上げられている)各種症状・徴候を伴う男性症例を提示いただき、鑑別診断をおこなうためのポイントなどをご解説いただきます。診断する上でのポイントをよりイメージいただけるよう提示いただく症例については、鑑別画像・検査所見などを示し、必要な検査、間違いやすい疾患、治療なども含めた解説、最後に担当した先生の実践的なコメントを掲載いただいております。
本コンテンツの内容が若手の泌尿器科専門医ならびに泌尿器科非専門医の先生方の日常診療の参考となり、ひいては患者さんの利益につながれば幸いです。
泌尿器科学