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症例に学ぶ見逃してはいけないサイン-

総合監修コメント

監修のコメント

耳鼻咽喉科外来における日常診療では患者数も多いため、短時間に的確に診断し、治療方針を決定する必要がある。各々の主訴に対して頻度の高い疾患を順に考えていくことで多くは診断できるが、その裏でたとえ多忙な外来の中であっても「見逃してはいけないサイン」に気付かず、思わぬミスを犯す危険性がある。
このようなサイン・兆候を単発的に取り扱い解説・報告している書籍はあるが、主要な耳鼻咽喉科疾患の主訴を取り上げ、耳鼻咽喉科外来を訪れる患者に潜むサイン、診療上見落としてはならないポイントについてWeb上にて解説した本企画は初めての試みと言える。
本コンテンツの内容は、まずその主訴を特徴とする主要疾患の具体的な症例を提示し、自他覚的症状や検査所見の解説をし、次いでその主訴で訪れる患者の鑑別診断において「見逃してはいけないサイン」を記した。さらに、診断のポイントならびに疑うべき疾患を解説し、最後に担当した医師の実践的なコメントを掲載している。このような構成にすることで、実地医科の先生方に「見逃してはいけないサイン」をよりイメージいただけるようにした。
本コンテンツは単に「見逃してはいけないサイン」の羅列ではなく、一つの主訴に対する鑑別診断や診療の進め方に関しても詳述されており、耳鼻咽喉科診断学の教科書としても通用する内容となっている。
若手の先生のみならずベテランの先生方にも、日常診療における重要な留意事項として是非とも目を通していただきたい。
本企画が実際の臨床の場面で患者と向き合う先生方の診療の一助になれば幸いである。
鹿児島大学大学院医歯学総合研究所
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 教授
黒野 祐一

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嗅覚障害(においがわからない)

A4 2P (210.2 KB)

金沢医科大学病院 耳鼻咽喉科 教授  三輪 高喜 先生
嗅覚障害の原因は多岐にわたり、それぞれ治療方法も異なる。原因として最も多いのは慢性副鼻腔炎を始めとする鼻副鼻腔炎であり、特に好酸球性副鼻腔炎では嗅覚障害は必発といっても過言ではない。次いで多いのが、感冒後嗅覚障害と外傷性嗅覚障害である。原因が特定できない嗅覚障害患者も少なくなく、そのほとんどは加齢に伴うものであるが、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の初期症状としても嗅覚障害が起こりうるので注意が必要である。

一覧情報

嗅覚障害(においがわからない)

A4 2P (210.2 KB)

金沢医科大学病院 耳鼻咽喉科 教授  三輪 高喜 先生
嗅覚障害の原因は多岐にわたり、それぞれ治療方法も異なる。原因として最も多いのは慢性副鼻腔炎を始めとする鼻副鼻腔炎であり、特に好酸球性副鼻腔炎では嗅覚障害は必発といっても過言ではない。次いで多いのが、感冒後嗅覚障害と外傷性嗅覚障害である。原因が特定できない嗅覚障害患者も少なくなく、そのほとんどは加齢に伴うものであるが、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の初期症状としても嗅覚障害が起こりうるので注意が必要である。

鼻痛 (鼻が痛い、頬が痛い)

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和歌山県立医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 教授 保富 宗城 先生
急性鼻副鼻腔炎は、鼻漏・顔面痛(前頭痛)・鼻汁を主訴とする感染症であり、歯性上顎洞炎として発症する場合もある。上顎癌は病初期には自覚症状に乏しいことが多く、鼻副鼻腔炎と同様の症状を呈することもある。頬部痛を伴う一側性上顎病変の診断においては、上顎癌に注意が必要である。

味覚障害(味がわからない)

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兵庫医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 講師  任 智美 先生
味覚障害の障害部位としては受容器、末梢神経、中枢神経、伝達障害があり、原因分類として亜鉛欠乏性、特発性、薬剤性、全身疾患性、口腔唾液腺疾患性、心因性、中枢性、末梢神経障害、風味障害、遺伝疾患性が挙げられる。時として味覚異常から稀な全身性疾患が発見されることがしばしばあり、随伴症状や経過などにも留意しながら、適切な検査を勧めることが重要である。

鼻漏・後鼻漏(鼻水が出る、鼻汁がのどに落ちる)

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日本医科大学耳鼻咽喉科学 教授、 武蔵小杉病院耳鼻咽喉科 部長 松根 彰志 先生
鼻漏や後鼻漏は、耳鼻咽喉科日常診療の訴えとして頻繁に遭遇する症状である。原因として最も多いのは、アレルギー性鼻炎や慢性鼻副鼻腔炎である。ただし、診察時の限られた時間内で前鼻鏡所見や咽頭所見のみでは、訴えの解決につながる所見が得られないことも少なくない。鼻咽腔ファイバーを用いた診察や画像検査、採血等によるアレルギー検査を行うことにより鼻副鼻腔の病変の全体像を明らかにすることが必要となる症例もある。

口腔乾燥(口が渇く、つばがでない)

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東京女子医科大学 耳鼻咽喉科 講師 山村 幸江 先生
口腔乾燥症は唾液の減少や口腔粘膜水分の喪失によって生じる口内の乾燥感や粘つきといった症候で、しばしば味覚の異常や口内痛も伴う。原因には体液の喪失等の全身的要因、咀嚼障害や薬物の副作用といった唾液分泌刺激の障害、および唾液腺組織の障害がある。口腔乾燥症は不快な症状が患者の生活の質を損なうのみならず、う歯や口腔カンジダ症といった口内疾患の原因ともなるため、適切な病態診断と対応が必要である。